こんにちは、歯科医師の井手です。
歯の頭の部分(歯冠部)が虫歯により崩壊してしまい残根状態になってしまうと、そのあとに被せ物を被せても直ぐに外れてしまったり、歯根が割れてしまうと言われています。
全周に渡り歯肉よりも上に健全な歯が厚さ1.0mm以上、高さ1.5mm以上必要と言われています。これをフェルールといいます。
フェルールが欠如している場合の治療法の一つにルートエクストルージョンというものがあります。これは金属でできたワイヤーとフック、そしてゴムを用いることで歯を上の方に引っ張り上げ、フェルールを確保する方法です。
装置を装着し数週間経つと、歯が歯肉と共に上へ上がっていき、さらに時間が経つと歯根周囲を支えている骨までも上へ上がっていきます。
その後、歯肉などを適切にトリミングすることで、被せ物を入れるための具備条件が揃い予知性の高い歯冠修復を行うことができます。
この治療法は各種検査を行った後に適応かどうかを診断しますので、何かご質問があれば気軽に御相談下さい。
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歯科医師 井手 康介
ルートエクストルージョンとは
歯冠崩壊が著しく、歯肉縁下にのみ残存歯質が存在する残根状態の場合は、抜歯の適応となることが多い。しかしながら、歯根の長さが補綴装置の支持に十分である場合には、支台歯として利用することが可能である。歯根を挺出させるルートエクストルージョンにより、補綴装置のマージンを適切に設定し、帯環効果による保持力向上をはかることができる。ただし、歯冠歯根比が低下するため、どの程度の挺出が必要かを事前に検討しておく必要がある。
参考文献
第6版 クラウンブリッジ補綴学 医歯薬出版株式会社
P111〜112