骨火傷とは
インプラント治療は歯が無くなってしまった所に人工歯根を埋め込んで、その上に被せ物をつけていく治療です。
他の歯に負担をかける事無くその歯だけで治療する事が出来るのでメリットが多いですが、誰でも治療する事が出来る訳ではありません。
インプラント治療は骨の硬さや質が重要で、場合によっては治療する事が出来ない場合もあります。
今回はインプラント治療の成功を左右する顎の骨について詳しくご説明します。
【インプラントと顎の骨の関係】
インプラントは顎の骨の中に埋め込んで、その上に土台となる部分をつくって人工歯を被せていくので、インプラントがしっかりと定着するかどうかは、顎の骨の状態によって大きく変わってきます。
それではどの様な状態が良いのでしょうか?
【柔らかい顎の骨】
顎の骨の硬さや柔らかさは骨密度で表されます。
骨密度が低くなると柔らかくなる傾向に、反対に骨密度が高いと硬い傾向になっています。
骨粗しょう症の患者さんでは骨密度が低くなりやすい事から骨が柔らかくなると言えます。
一定の硬さがある方がインプラントとの定着が良く、インプラント治療には良いとされています。
ただ、顎の骨が柔らかいと必ずしもインプラント治療をする事が出来ないという事はありません。
定着に置く期間を長くするなどの対策をする事ができます。
また、インプラントの本数を増やして支えを多くする事もできます。
インプラント治療を希望して、骨が柔らかいと診断された場合でも、まずは歯科医院で検査して相談してみる事をおススメします。
【骨が硬い方が理想的?】
骨密度が低いとインプラント治療には対策が必要ですが、それではすごく硬い骨が理想的なのでしょうか?
骨が硬いとしっかりと定着して良さそうですが、骨の硬さも硬すぎると最初の定着は良いのですが、血流の流れが良くない事が多く、治癒が遅れてしまう事があります。
顎の骨はD1~D4に分類されて、最も硬いものがD1に分類されます。
D1だと硬くて不具合が生じる事もあり、D4だと柔らかすぎる事もある事からD2,D3の程よい方がインプラント治療を行う際には適していると言えます。
【硬い骨のリスク 骨火傷とは?】
インプラントを埋め込む際には、ドリルで骨に穴を開けてインプラントを埋める場所をつくってから埋め込んでいきます。
その骨をドリルで削る際には、水や生理食塩水を出しながら削っていくのですが、非常に硬い骨の場合には摩擦を起こしてしまって、骨が火傷した様な状態になってしまう可能性があります。
骨火傷をすると組織が壊死してしまい、インプラントも定着せず、痛みも伴います。
骨火傷はかなり稀なケースではありますが、インプラントをして1週間しても強い痛みが伴う場合は、歯科医師の相談する事をおススメします。
【骨火傷の対策】
・CTレントゲンでの審査
歯科用レントゲンやCTであらかじめ骨の量や質をしっかりと診断する事がとても大切になってきます。
それによって骨が少ない場合は骨の量を増やす為の処置をしたり、インプラントの方法や角度を変えたりと工夫が必要です。
また骨が硬い場合にはインプラントが埋め込む事が出来るかどうかや対策が必要かどうかなどを判断していきます。
事前のしっかりとした検査や診断がインプラントの今後も左右するのでとても大切です。
・ゆっくりと削る
骨にドリルで穴を開ける際には、低速でゆっくり行う事で骨の摩擦が少なく、負担も少ないです。
ドリルをする際に高速で行ってしまうことが骨火傷の原因に繋がってしまう事があります。
また削る際の冷却をしっかりとする為に、冷水や食塩水を削っている部分にしっかりと当てて冷やす事も大切です。
【大切な骨の状態】
インプラントは骨の硬さが大切になってきますが十分な骨の量も大切です。
骨が少なくなってしまっている場合には、インプラントを支える事が出来ず、インプラント自体が難しくなってしまうからです。
インプラントの骨が少なくなってしまった場合には、骨の再生療法も進んできているので、骨が少ないからインプラントをすぐに諦めてしまう事はありません。
骨の硬さや十分な骨の量は、インプラントを行う上でとても大切ですが、理想的では無かった場合にも色々な対策をする事が出来ます。
インプラント治療が気になった際には自分が現在どの様な状態にあってどの様な治療が出来るか把握する事が大切です。
その中で先生と相談して自分に合った最適な治療を選ぶと満足度が高くなります。
インプラント治療を大きく左右する骨の状態は、歯周病と大きく関係しています。
歯周病の原因になる汚れや歯石をしっかりと除去する事によって、骨が痩せる事も防いで良いお口の環境を保つ事が出来るのです。
自宅での毎日のケアももちろん大切ですが、自分では気が付かない所に汚れがついてしまっていつのまにか歯周病が進行している事もあります。
そんな時には歯科医院でのプロフェッショナルケアも大切になってくるので、定期的に検診を受ける事もおすすめします。